コラム

2014年1月23日(木)

「不安」と「危機感」の違い

松波 晴人

12月末に発売された書籍
「行動観察」の基本(ダイヤモンド社)
がおかげさまで好評で、3刷が決定しました。

 今回は、書籍で触れてはいるものの、書ききれていない重要な点について解説をしたいと思います。

それは「不安」と「危機感」の違い、そして「プライド」と「自己効力感」の違いについてです。

今は、「過去の成功体験」が通用するかどうかよく分からない時代です。
しかも、短期での成果が求められたり、説明責任が厳しく求められたりと、イノベーションを起こすためには困難な環境があります。

 そんな中、「この先どうなるだろうか?」という不安を抱えるのはとても自然な感情であると言えます。
しかし、問題は、「不安を持っていれば成果につながる」というわけではない、という点にあります。
なぜなら、不安は行動につながりにくいからです。不安があればあるほど、何かを意思決定するのが難しくなり、人を動かしていくことが困難になります。

 環境の変化により、業績が上がりにくくなってきたとしましょう。たとえば、人口が減ることによって収益が減ってきたときに、どう考えるでしょうか?
「先行きどうしよう、不安だ」と感じているだけであれば、急な坂道で立ち止まるのと同じで、ゆっくりと後退するだけです。
しかし、「危機感」を持っていればどうでしょうか。「なんとかしなければならない」という危機感があれば、坂道を登る方法を考え、なんらかのアクションを起こすはずです。

 「プライド」と「自己効力感」も同様です。
何もアクションを起こさなければ、絶対に失敗することがないので、プライドを守ることができます。
しかし、自己効力感があれば、アクションを起こすことになります。そうしてはじめて、成功したり、失敗を通じて学びを得ることができます。

 もう少し分かりやすくするために、あなたが病院に行くことを想像してください。
あなたはどちらの医者にかかりたいでしょうか?

 A医師:「まあ、この診断で大丈夫だと思うんだけど本当に大丈夫かな。それに、手術うまくいくか不安だな」「俺は凄い医者だ、という評判を下げたくないな」

 B医師:「この患者をなんとかしなければならない」「自分はやり遂げることができる、だから、何がベストかを考えてアクションを取ろう」

 既にご理解いただいているとおり、A医師は「不安」で「プライドが高い」。B医師は「危機感」と「自己効力感」を持っています。

 このように、「不安」と「危機感」は似ているようで全く違います。そして、「プライド」と「自己効力感」も似ているようで全く違います。
ぜひみなさんも「危機感」と「自己効力感」を持っていただきたいと思います。

 

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